そうは言っても、経営者サイドの方であれば、厄介な問題社員を前にして、三下り半を叩きつけたいという思いにかられたことが過去に一度はあるというのが本音だと思います。
また、仮にそれを実行に移すことを思いとどまっているとしても、そのような状態は、遅かれ早かれ表面化するか、もしくは既に発生している《対処》の段階と言えます。
ここからは、法令と実務の違い、本音と建前を織り交ぜながら更に細分化してみましょう。
まず、「実は既に解雇してしまい、当該社員が労基署や労働組合に駆けこんでしまった」などという緊急性がある場合は大変ですね。実際のんびりこのページを読んでる状況ではないかもしれませんが、まずは落ち着いて【経営者側リスクマネジメント】をご参照ください。
次に、幸いにして事態はそこまで進行していないが、我慢も限界であるという場合です。
そんな時、当所では、まず当該社員について細かく検証し、下記の中から最も良い方法を選択して、原則として話し合いによる解決ができるよう、社員との面談にも立会いながらサポートをしていきます。
⑴ 契約期間の満了
必然的に雇用契約が終了(退職)することです。
有期の契約社員が雇用期間満了によって退職する場合や、定年による退職などもこれにあたりますが、雇用止めにも気を付けなければならない点がいくつかあります。
⑵ 合意退職
会社と社員が、互いに納得して退職することです。
合意退職にも2種類あり、社員が退職願を提出して会社が承認する場合と、反対に会社が退職勧奨をして退職する場合があります。
⑶ 解雇
会社から一方的に、退職を通知することです。
まず、労働基準法20条によれば、
『原則として30日前に予告するか、30日分の解雇予告手当を支払うことで即時に解雇することができる』―抜粋
とありますが、その一方で、労働契約法16条には
❝解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする❞
との定めもあり、理由付けが強引なまま踏み切り、解雇した社員が実際裁判所に駆けこんだ場合には「多大な時間と費用を垂れ流した結果、無効となる」ケースもありうるというリスクを把握しておかなければなりません。
また、2の合意退職(退職勧奨)と3の解雇の違いも紛らわしく、この認識の違いがトラブルに発展しやすいので気を付ける必要があります。
上記の中で共通して言えるのは、指導して改善の機会を与えることが重要つまり「段階を踏む」ことです。
そして、まずはアクションを起こす前にご相談いただくことを第一とした上で、問題の大小に関わらず段階を踏む必要性から、どんな場合も解決までに時間がかかることをご理解いただきたいと思います。